オレの名前はドルク。
新しいうちに来て1年が経とうとしている。

新しい場所には慣れたし、まだ若いもんたちには負けない。
初めに育てた息子ちは、相変わらず親離れしないのか
ハルちゃんにくっついてくる。
ハルちゃんを好きになる気持ちはわかるが。
おかぁは、オレたちの部屋を子供たちから離した。

ハルちゃんは4歳になっていたが
年が明けてからまた卵を産んだ。
同じ頃、隣り部屋になったチルクとちゅんちゃん夫婦も
卵を6個産んでいた。
オレたちの卵は産まれそうもない。
おかぁは、ちゅんちゃんの卵2個をオレたちに託した。
産まれるかはわからないが
オレは大好きなつぼ巣で生活できるならと
快く引き受けた。
すると、2羽産まれた!
隣り部屋からも4羽の子供たちの声が聞こえてくる。
おかぁは、無理させて悪いね…と言うが
自分たちの子供じゃなくたって
口をあけてゴハンをせがむ子供たちは可愛いもんだ!
オレとハルちゃんは、また夢中で子育てをした。

途中からは、おかぁが変わりに育ててくれた。
つぼ巣がなくなって寂しくなったが、
おかぁはワラの板床を置いてくれた。
無事に大きく育っていく子供たちの声を聞きながら
オレたちはここで安心できるようになった。
6羽の子供たちも大きくなり、それぞれのうちへ行った。
隣り部屋のちゅんちゃんは、
子供たちを見送ると安心したように眠った。
新しいうちに来て1年を迎えることなく
かぃとみかん夫婦が眠った。
おかぁは、若いやつらを見送るたびに寂しい顔をした。
だけど、おかぁはオレが声をかけると元気になる!
オレは9歳になっていた。
また、暖かい春が来るころ
身体に異変を感じはじめていた(…続く…)
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